看護学校に入学できたら、それで看護師の資格が取れるわけではありません。

看護学校は、専門学校・養成所であろうと短期大学であろうと大学であろうと、
そこを卒業することで、看護師国家試験の受験資格が得られるだけなのです。

卒業すれば自動的に資格がもらえるということではないのです。

看護学校で学ぶことをしっかり身につけて、
国家試験に合格しなければなりません。

次の表をご覧ください。これは看護師国家試験の合格率の推移です。

 

年度 受験者 合格者 合格率
1981年 28,740人 27,371人 95.2%
1986年 32,533人 31,956人 98.2%
1991年 36,042人 34,385人 95.4%
1996年 45,600人 40,927人 89.8%
2001年 48,332人 40,625人 84.1%
2006年 48,914人 43,211人 88.3%
2007年 50,766人 46,000人 90.6%
2008年 51,313人 46,342人 90.3%
2009年 50,906人 45,784人 89.9%
2010年 52,883人 47,340人 89.5%

 

以前はおおむね95%前後の合格率が続いていたのですが、
1996年に90%を割り込み、2001年には80%台前半まで低下しています。

ここ5年間ほどをみると、おおむね90%前後で推移しています。

看護師国家試験は年1回だけの実施ですから、
不合格の場合は翌年まで待たなければなりません。

では1年後に合格できるのか。

2010年の看護師国家試験合格状況で確認しておきましょう。

まず、次の表をご覧ください。
この表は、3年課程の学校区分別の新卒者合格率です。

 

区分 受験者 合格者 合格率
大学・新卒 11,156人 10,925人 97.9%
短大・新卒 2,040人 1,882人 92.3%
養成所・新卒 20,196人 19,264人 95.4%
3年課程・新卒計 33,392人 32,071人 96.0%

 

上に示した「看護師国家試験合格率の推移」の表では
2010年の受験者数が52,883人となっていますが、
これは、3年課程既卒者や進学コース(2年課程)の
卒業生なども含めた人数です。

以上は、新卒者の合格状況ですが、
それでは既卒者はどうなっているのでしょう。

 

区分 受験者 合格者 合格率
大学・既卒者 315人 245人 77.8%
短大・既卒者 265人 146人 55.1%
養成所・既卒者 1,401人 775人 55.3%
3年課程・既卒者計 1,981人 1,166人 58.9%

 

どうですか。

厳しい結果ですねえ。

看護学校卒業時に合格できないと、
翌年受験して合格する率は大雑把に言えば半分です。

看護学校の奨学金で、指定病院にある期間以上勤務すると
返済を免除するというのがあります。

こうした奨学金を受けて看護学校に通い、
国家試験に不合格となるとさらに悲劇的です。

勤務したくても資格が取れなかったらどうしようもありません。

他の仕事をして返済しなければなりません。

なるかんは、看護職ではありません。

看護学校の受験指導を行ってきただけですから、
看護師国家試験については何も知りません。

ただ、書店で看護師国家試験の問題集をパラパラと見た限りでは

「??????」

さっぱりわかりません。

看護学校の入試問題の方がはるかに易しい、いつもそう感じます。

もちろん、入試問題のようにすべて「頭で」処理するのと、
看護職のように実習を通して「体で覚える」のとでは、
人によって得手不得手があり、一概に比較はできません。

それでも「並大抵のことではないなあ」、
合格される方は「大したものだ」と感心します。

ごく近い将来、こうした国家試験を受験しなければ
ならないわけですから、「学ぶ力」「学習力」は
看護職志望者には不可欠です。

「数学が何の役に立つの。看護なんかと関係ないでしょ」

と考えるのはちょっと単純です。

数学を通して「あなたに学ぶ力があるのかどうか」
「新しい事柄や込み入った事柄をきちんと理解し、
習得する力があるかどうか」

それを、看護学校では見るために数学を入試に課している、
まあこういうように考えてください。

学校を卒業して時間が経つと、「勉強しにくくなる」
「学ぶことが下手になる」方が多いようです。

「勉強がなかなか頭に入らない」
「覚えてもすぐ忘れる」

こういった声をたくさん聞きます。

ただ、本当に「勉強が苦手」「学べない」と思うのなら、
看護職はあきらめた方がいいです。

看護学校に入ったはいいが、「ついていけません」では、
何の意味もないですから。

したがって、2番目の前提条件は、

「あなたには学習能力がありますか」
「苦手なこと、嫌なことでも、何度も繰り返して
身につけることができますか」

ということです。

どうでしょうか。